エイリシュは地元の食料品店で働いていますが、女店主は性格が悪く、エイリシュは他の仕事に就きたいと考えています。しかし、田舎なので仕事が少なく、他に彼女が就くことのできる仕事が見つからないので、不満を感じつつも食料品店で働かざるをえません。
姉のローズは美人でゴルフが上手く、男性の間で人気の女性です。仕事も経理の仕事をしていて、妹のエイリシュとは対照的です。
そんな所に、知り合いの神父から、アメリカに仕事に来ないかという誘いが来ます。このままアイルランドにいても他に仕事がないので、エイリシュはアメリカへ行くことにします。
船の食堂室で食事をしますが、周りには客がいません。給仕が彼女に言います。「君は良く食べるね。他の乗客たちはこの後嵐で船がひどく揺れて、船酔いで全部吐いてしまうから食べないのに」
その夜、エイリシュはひどい船酔いで苦しみます。船室の隣にトイレがあるのですが、隣の船室と間にある共用のトイレで、しかも向こうがこちら側の扉に鍵をかけてしまったので、エイリシュはそのトイレを使うことができません。
同室の女性に介抱してもらいながら何とか船酔いを乗り切り、エイリシュは無事アメリカに着きます。
エイリシュは神父の紹介で女性向けの寮に住みながら、デパートで接客の仕事を始めます。そして早くもホームシックにかかります。
神父は心情を察し彼女を労わるとともに、教会が補助するから夜間大学で簿記の勉強をするようにと彼女に勧めます。
エイリシュは簿記の勉強をしつつ、段々とアメリカの生活に慣れていきます。
教会主催のダンスパーティーで、彼女はトニーというイタリア系の男子から声をかけられます。一緒に踊った後、二人は頻繁に会うようになります。
トニーは自分の家に彼女を招待したいと言います。
エイリシュはイタリア料理を食べたことがないので、寮で先輩の女性たちから手ほどきを受けながら、パスタをフォークで食べる練習をした後、トニーの家に行き、彼の家族たちと食事をしました。その後二人は海水浴に行ったりして段々と距離を深めて行きます。
そんな折、アイルランドから電話が来ます。姉のローズが亡くなったことを伝える電話でした。ローズは前から病気を抱えていたのですが、それを誰にも告げずにいたのでした。
エイリシュはアイルランドに急いで帰ることにします。トニーはもうエイリシュがアメリカに戻ってこないのではないかと心配し、結婚してくれとエイリシュに哀願します。最初は必ず帰ってくるからと断っていたエイリシュも最後には折れて、二人は教会でひっそりと結婚式を挙げます。
アイルランドに帰ると、エイリシュは墓参りをして、女友達の結婚式に参列します。彼女は自分がもう結婚したことを、母親にも友達にも、誰にも言えないでいました。
そろそろアメリカに帰ろうというところで、今度は女友達から、地元の男性を紹介されます。女性たちの間では人気のある資産家の息子です。彼には婚約者がいたが破談になったのだとエイリシュは友達から聞かされます。
周りがエイリシュと彼をくっつけたがっているのを感じ、そして彼女もそれが良いのではないかと思う気持ちが徐々に高まってきます。彼女がアメリカに戻ると実家は母親が一人暮らしになってしまうし、仕事についても、ローズがやっていた仕事を臨時で手伝いつつ、アメリカで簿記の勉強をしていたことから、姉のローズがやっていた仕事を正式に引き継いでもらえないかと彼女の職場の上司から言われていました。
エイリシュは、アメリカに行く前にこうなっていれば良かったのにと呟きます。
そんな時に、彼女は昔勤めていた食料品店の女店主から呼び出されます。
彼女は遠回しにエイリシュに言います。自分にはアメリカに知り合いがいて、その人からあなたがすでに結婚していると聞いたと。
エイリシュは自分が戻ってきた土地がどんな場所だったかを思い出し、自分がすでに結婚していることを母親に告げ、アメリカへ戻ります。
アメリカに戻り、トニーと再会したところで映画は終わります。
コルム・トビーンの原作では、最後に、エイリシュはもうトニーを愛していないのだと、はっきり悟る場面があります。それでも自分はアメリカでトニーと暮らしていかなければならないのだという諦念が語らるのです。映画ではそのようなシーンはなく、再会した二人は幸せそうな笑みを浮かべながら寄り添い、幕が下ります。