ルージンは幼い頃にチェスと出会い、成長してチェス・プレイヤーとなっていきます。
彼には、チェスは一流だがそれ以外の生活能力に乏しいという特徴があります。
やがてルージンは若くて美しい女性と出会い、伝統に則って彼女の母親の方に、先に結婚の意志を伝えます。
チェス小説としても読めるし、一人の人間の軌跡としても読めます。
時代状況を反映してか、次第にルージンの精神が追い詰められていきますが、
彼が彼自身を守りきれるかどうかに物語がシフトしていきます。
彼の妻やその家族、作家である彼の父、悪友など、主人公以外の登場人物も個性が際立っていて生き生きとしています。
2012年2月4日
『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』ウラジーミル・ナボコフ
ナボコフとアイルランドに直接の結びつきはおそらくありませんが(ナボコフがジェイムズ・ジョイスに会ったというエピソードは確かあったと思います)、個人的に気に入っている作家の一人なので、読者が増えることを願って取り上げます。
語り手であるVは、腹違いの兄である作家セバスチャン・ナイトの伝記を書くために、
故人と縁のあった人たちを訪ね歩きます。
構成は、Vがセバスチャン・ナイトについて情報を集めている現在の場面と、
Vがセバスチャン・ナイトの思い出を語る回想の場面の二つに大きく分けられます。
それらが互いに絡み合いながら、少しずつセバスチャン・ナイトの人物が浮かび上がってきます。
同時に、Vの旅は、セバスチャンの最後の恋人であるニーナを探す旅でもあり、
彼女の正体が明らかになるまでは推理小説のようにも読めます。
全体的に読みやすい小説。にもかかわらず、細部にこだわるナボコフの記述は、この小説の密度を濃密なものにしています。
語り手であるVは、腹違いの兄である作家セバスチャン・ナイトの伝記を書くために、
故人と縁のあった人たちを訪ね歩きます。
構成は、Vがセバスチャン・ナイトについて情報を集めている現在の場面と、
Vがセバスチャン・ナイトの思い出を語る回想の場面の二つに大きく分けられます。
それらが互いに絡み合いながら、少しずつセバスチャン・ナイトの人物が浮かび上がってきます。
同時に、Vの旅は、セバスチャンの最後の恋人であるニーナを探す旅でもあり、
彼女の正体が明らかになるまでは推理小説のようにも読めます。
全体的に読みやすい小説。にもかかわらず、細部にこだわるナボコフの記述は、この小説の密度を濃密なものにしています。
『見えない都市』イタロ・カルヴィーノ
マルコ・ポーロが、これまでに見てきた様々な都市の話をする。
だが、ヴェネツィアだけは語られることがない。
いつの日か彼の都市を訪れてみたいが、いつになるのだろう。
だが、ヴェネツィアだけは語られることがない。
いつの日か彼の都市を訪れてみたいが、いつになるのだろう。
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