2012年8月26日

『海に帰る日』

ブッカー賞受賞作。
この時の他の候補作に、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』があったというのは、
この本の受賞がとても意義深いものに感じられます。
原題は、The sea 。読みやすい文章でもないし、泣ける話でもありません。
言葉と文章に対するこだわりの強い作家なので、それらを愉しむつもりで読むのがいいかもしれません。


『無限』

ジョン・バンヴィルの割と最近の小説。
語り手が神であるヘルメスなので、文字通り神の視点で描かれていきます。
登場人物たちの中では神であるゼウスが一番の存在感を持っているような印象でした。
文章の密度は濃いです。



『ダブリンで死んだ娘』

ジョン・バンヴィルがベンジャミン・ブラック名義で書いたミステリー。
アイルランドとアメリカが主な舞台で、相互を行き来します。
内容に関しては、可もなく不可もなく、といったところでしょうか。
バンヴィル名義の小説に比べると物足りなさを感じるかもしれません。