2014年7月13日

『青い野を歩く』 クレア・キーガン

アイルランドの作家クレア・キーガンの短編集。
ほぼ全編を通して描かれるのはアイルランドの田舎での生活であり、そこで暮らす人々の人間模様です。一昔前の出来事のようにも読めるし、21世紀を舞台にした物語として読むことも可能だと思います。文章は洗練され、無駄がなく、構成も綺麗にまとまっています。
農村での暮らしの息苦しさを感じさせる短編が多いですが、日常生活の様子にもアイルランドの歴史が深く刻み込まれているように思われます。
翻訳も言葉の選び方が巧みで素晴らしいです。


『別れの贈りもの』
アイルランドの農場の娘がニューヨークへ発とうとしている。その出発前、実家での様子が描かれている。


『青い野を歩く』
結婚式の場面。新郎新婦とそれを囲む親族や参列者たち。結婚式を執り行う神父は過去に新婦と関係があり、結婚式やディナーが進んでいく中で過去の出来事を思い出していく。


『長く苦しい死』
女性作家は、ノーベル賞作家のハインリヒ・ベルが住んでいた家にやって来て、そこで創作に専念しようとする。ところが着いたその日のうちにドイツ人の元教授から電話があり、部屋の中を見せてほしいと頼まれる。


『褐色の馬』
別れた女のことを思い出す男。破局の原因となった会話には馬に関する軽はずみな言動があった。


『森番の娘』
森で働くディーガンは如何にして妻のマーサと出会ったか。マーサはディーガンの家にやって来て何を見たか。二人の間に生まれてきた子供達。バラの思い出。娘は父からもらった犬にジャッジと名前をつける。しかしその犬には元の持ち主がいることを娘は知らない。
村人たちを呼んでの宴席で、妻のマーサは物語を語って聞かせる。そこで明らかにされる真実。

『波打ち際で』
21歳のハーバード大生リチャードは、母と継父の三人で食事をする。
リチャードは祖母のことを思い出す。


『降伏(マクガハンにならって)』
巡査部長と駐在所の話。


『クイックン・ツリーの夜』
クレアのドゥーナゴアの丘には神父の家があり、神父が亡くなった後、マーガレット・フラスクという女性が引っ越してくる。お隣にはスタックという男が雌山羊のジョゼフィーンと一緒に暮らしていた。
ナナカマドの空き地での神父との想い出。迷信深いマーガレット。スタックは農場の娘に日曜の昼食を624回ごちそうしても、その娘と結婚することがなかった。マーガレットとスタックを取り巻く噂好きの人々。



青い野を歩く (エクス・リブリス)
クレア キーガン Claire Keegan
4560090068

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