2012年1月10日

『バーチウッド』を読む 第一部(2)

父母、サイラス、エンジェルへの言及。

ゴドキンとローレス一族の歴史。語り手誕生までの一族の歴史を語り手自身が語る。ゆえに語り手は、実際には見ていないことを見てきたかのように語っている。もしくは、他者から聞いた話を自分が当時の出来事の現場にいたかのように語っている。

地主のジョセフ・ローレス。じゃが芋飢饉時の挿話。
語り手と同名の曽祖父ガブリエル・ゴドキン。その妻ベアトリス。
語り手の父ジョセフとその妻ベアトリス。谺。

父母が新婚旅行から帰ってくる。
父ジョセフ。その妹マーサ。その二人の母親。客間で睨み合う三人。



ジョセフ・ローレス:地主。バーチウッドの主。
ガブリエル・ゴドキン:語り手の曽祖父。
ベアトリス:語り手の曾祖母。ローレス一族。
サイモン・ゴドキン:語り手の祖父。
ジョセフ・ゴドキン:語り手の父。
ベアトリス:語り手の母。ジョン・マイケル・ローレスの娘。
ガブリエル・ゴドキン:語り手。

『バーチウッド』を読む 第一部(1)

第一部 死者の書

語り手――ガブリエル・ゴドキン

一連の物語が結末を迎えた後のバーチウッドで暮らすガブリエルの視点から、ゴドキン一族とその屋敷バーチウッドの盛衰が語られていく。

言及される固有名詞等
サバティエ
ロージー
サイラス
白いドレスを着た少女(の写真)
赤毛

lawlessな屋敷


『バーチウッド』を読む(エピグラフ)

Odi et amo. Quare id faciam, fortasse requiris.
nescio, sed fieri sentio et excrucior.


ローマの詩人カトゥルスの引用。85番。

第一部(14)でマーサ叔母がガブリエルにラテン語入門書を使ってラテン語を教える場面があり、「アモー(愛スル)」と喋っている。入門書にエピグラフと同じ詩が載っているとも考えられるが定かではない。ただ、エピグラフの「アモー」が、第一部(14)に谺としてあらわれていると考えることはできる。



『バーチウッド』を読む(序)

アイルランドの作家ジョン・バンヴィルは個人的にとても気に入っている作家です。彼の小説『バーチウッド』(1973)について、一読者の視点から綴っていきます。
ストーリーよりも全体の構成や文章の細部に興味があるので、その辺に焦点を当てたいと考えています。
この小説を未読の方が興味を持ち、読者が増え、バンヴィルの未邦訳の作品群がいつの日か翻訳されることを切に願っております。





はじめに

筆者がこれまでに読んだ本について.
主にアイルランドの小説を中心に徒然に綴っていきます。
何分、アイルランドに興味を持ったのが数年前からなので、
更新頻度は緩やかになると思われます。
本以外の話題も時々あります。