2012年12月9日

『フェリシアの旅』 ウィリアム・トレヴァー

ウィリアム・トレヴァーの長編小説です。
17歳のフェリシアは、連絡先を伝えずにイギリスに行ってしまった恋人のジョニーを追って、アイルランドからバーミンガムへやって来ます。
芝刈り機の工場で働いているとジョニーが言っていたので、その方面で彼を探しますが、ジョニーは見つかりません。
そんな時、フェリシアに声をかける人物、ヒルディッチ氏が現れます。
ヒルディッチ氏は工場の社員食堂の経営者で、豪邸に住む独り者です。彼はフェリシアの助けになりたいと申し出、ジョニーのいそうな工場を探す手伝いをします。
しかしジョニーは見つからないので、フェリアシアはヒルディッチ氏の厚意により、彼の邸宅で宿を取ることになります。
善良な人物を装っているヒルディッチ氏ですが、彼には、これまでに何人もの家出娘に助けるふりをして近づき、そして殺してきたという過去があります。
果たしてフェリシアの運命はどうなるのか。

物語の筋だけを見ればそれほど複雑な話ではないですが、細部に対するこだわりが強い作家なので、フェリシアとヒルディッチ氏を取り巻く人たちが、思いの外、数多く出てきます。一人一人がそれぞれ癖のある人物として描かれているので、ボリュームの大きい、読み応えのある小説になっています。

映画にもなっているようです。










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