2012年1月15日

『バーチウッド』を読む 第一部の人間関係

第一部ではバーチウッドで暮らす人々の人間模様が描かれていますが、第三部でその人間関係の裏にある秘密が明らかになった後にもう一度第一部を読んでみると、解説にあるように第一部の印象が大分変わってきます。

最初に読んだ時は、登場人物たちのとる些細な行動に関する記述に特に気をとめることもなく、意味不明な行動や台詞が多いという印象を受けます。
それが、第三部で明らかになった人間関係を前提に読んでみると、第一部での登場人物の言葉、態度、仕草、喜怒哀楽、そういったものが、初読の時とはまた違う意味を持ってきます。
マーサ叔母やマイケルがガブリエルに対してそこはかとなく距離を置き、時には敵意を剥き出しにする理由。ジョセフの笑みや葉巻という小道具が示す人間関係。没落による困窮から気が触れたのではないかと思われていたベアトリスも、その精神状況に別の解釈が与えられてきます。

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