メキシコの修道士セルバンド師の遍歴の物語。
自説が異端とされたため、スペインの監獄に収監され、そこを脱獄したが、また別の監獄に収監され、さらに脱獄し、その後も収監されては脱獄するという具合に、この人物の生涯は脱獄の繰り返しです。
ヨーロッパを渡り歩き、トラファルガーの海戦を目撃し、メキシコ独立のために反乱を起こしたりもします。
テクストは一人称、二人称、三人称の三種類から成っています。
一人称はセルバンド師の語りによる空想と誇張の物語。
二人称は作者がセルバンド師に語りかける言葉。
三人称は史実を客観的に叙述しています。
というわけで、一人称による第一章が終わると、次は二人称による第一章が始まり、その後、三人称による第一章が続きます。
第一章が三つあるのです。
かといって全部の章が三つずつあるわけではなく、主として一人称による章立てが多いです。
空想的な出来事や狂騒が縦横に展開し、全体として奇妙な伝記に仕上がっています。
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