2012年1月22日

『ハドリアヌス帝の回想』マルグリット・ユルスナール


年老いて病に臥しがちになったハドリアヌス帝が皇位継承者であるマルクス少年(後のマルクス・アウレリウス・アントニヌス)に自分の生涯を語って聞かせるという体裁をとった一人称による歴史小説です。
文章は密度が高く、晦渋ではありますが、見事なまでに彫琢され、美しいです。
歴史的事実、修正された事実、作者の創作、推測に基づく虚構、それらが皇帝の回想録を、実際には書かれなかったがもし書かれていたらきっとこういうものであったに違いない、と思わずにはいられないような回想録を鮮やかに紡ぎ出しています。

ただ、読み終えるまでにかなりの時間を要しました。




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