フランスの作家グルニエの短篇集。
新聞記者としての彼の経験がこの短篇集の中枢を形作っていると思われます。
本書の語り手の多くはジャーナリストであり、その語り手の視点で様々な人間の生き様やその生涯の一場面が簡潔に描かれていきます。
文の運びは上手いし、読みやすく、また人間に対する洞察も鋭い。
数多くの人たちとの交流の中で作者が培ってきた人間観、親愛の情、愚かしさ、虚しさ、そういったものが短い文章のなかにさりげなく、だが巧妙に含み込まれていると思われます。
登場人物たちに関して言えば、モデルはいるのかもしれないが、それぞれを血の通った人間として生々しく(人間臭く)描くことができるというのは、やはり凄いです。
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